落慶(らっけい)法要(寺院などの完成等の法要)・御恩忌(ごおんき)法要(宗祖や中興の祖などの遺徳を追慕(ついぼ)して行う法要)・お祭りなどで稚児行列などに参加する子供たちをお稚児さんと呼んでいますが、お稚児さんとは何でしょうか。
本来の意味の稚児では乳児、幼児のことを指し、「ちのみご」という言葉が縮んだものと考えられています。
古代日本では、幼児にケガレがないということで、神霊が宿る、または神霊に近い存在であるとされていたといいます。神社の祭りにおいて“よりまし”(神霊を一時的に宿らせる)の役割をもった稚児が登場し、祭礼行事に大切な役割を果たしてきました。
一方、仏教寺院の稚児は、女人禁制のお寺で僧侶達に仕える存在でした。貴族や上位貴族の子供達が教育や躾のためにお寺へ預けられるようになりました。さらに一般の家庭の子供達も稚児として預けられるようになったようですが、こちらの稚児達が僧侶達の身の回りの世話係となったようです。こうした稚児達は成人に達すると僧侶になることもなく還俗(げんぞく)することが多かったようですが、出家して僧侶になった者もいたようです。寺院における稚児として有名なのは、鞍馬寺に預けられたのちの源義経こと牛若丸でしょう。
現代では、お寺の行事やお祭りなどで、お化粧をしてあでやかな衣装を身に付けた子ども達が練り歩くことを“稚児行列”や“お稚児さん”と呼んでいます。古来よりこの役を勤めたお子さんは丈夫に育つとされています。
稚児は一般公募する場合が多いです。なお、稚児行列に3回出ると幸福になれるという話もあるようで…。稚児行列などが開催される時には、お子様の健やかな成長を願い仏様や神様の恩恵をいただく体験をされてはいかがでしょうか。 |